国境を超えた人とモノ、そして情報の移動が、国境線をあいまいにした近未来。
世界は、「共和国」と「連邦」に統合され、国連事務総長の引いた「事務総長子午線」が世界に残された唯一の国境線となった。
しかしその人為的にひかれた国境線を拒み、各地で紛争が相次ぐ時代となった。
その世界で、「共和国」と「連邦」関係なく人々の心をとらえる、大人から子どもまで楽しめる健全な仮想空間、『レヴィアタン・オンライン』。
そこに降り立った一人の男。
共和国
軍大尉、"キャプテン・ミコガミ"、ジン・ミコガミ。
清潔に漂白された、西洋中近世風の世界に、本物の血のにおいを持ち込んだこの生粋の軍人は、ある任務を帯びていた。
その任務とは、『レヴィアタン・オンライン』の世界に姿を消したある男を見つけること。
その男の名前は、共和国軍大佐、"メイジャー・クルス"、クルス大佐。
戦争遂行の塊であるこの男は戦争の狂気にとらわれ、軍令部に無断で殺人を犯し、『レヴィアタン・オンライン』の世界に姿を消した。
そしてクルスはこの仮想現実に自らの王国を作り、プレイヤーを訓練して神とあがめられ、そして現実世界に時折現れては虐殺を行い消え去っていく。
ミコガミの任務はクルスを見つけ出し、「その指揮権を完全に絶つ」ことである。
ミコガミは慣れないゲームの世界に戸惑いつつも、現実の戦場で培った技術や知識と、仲間たちの協力により、徐々にクルスの姿を、彼が求めるものへと近づいていく。
しかし、クルスの心の"荒地"へと足を踏み込もうとするとき、『レヴィアタン・オンライン』の、自分自身の、そして現実世界の背後に潜む"真実"を知る。折りたたむ>>続きをよむ